About

― エネルギーインテリジェンスで切り拓く、持続可能な未来社会 ―

shin1sakamoto Research Hub は、エネルギーを俯瞰的かつ知的に扱う「インテリジェントエネルギー」の視点から、エネルギーの本質を理解し、制御し、社会へ還元するための研究を推進しています。インテリジェントエネルギーとは、エネルギーを単なる物理量ではなく、情報・知識・判断の対象として統合的に捉え、最適な変換・制御・運用を実現するための工学的アプローチを意味します。人工知能(AI)や数理モデル、データ解析技術を駆使しながら、工学的知見と経験に基づく合理的判断を融合し、エネルギーシステムにおける知能的最適化と持続的発展を追求しています。

研究の中心となるのは、未利用エネルギーや自然エネルギーの有効活用、廃熱の回収と再利用など、持続可能な社会を支える基盤技術の創出です。電気エネルギーの変換・貯蔵・制御においては、AIと物理モデルを融合した手法を活用し、電力変換装置、電動機、蓄電システムなどの高度な最適化を進めています。また、エネルギーを力へと変換する装置、すなわちモーターや発電機、タービンといったエネルギー変換機器に対する監視・診断技術の開発にも注力しています。音や振動、温度などの時系列信号をもとに装置内部の状態を非接触で推定し、異常や劣化の兆候を早期に検出することで、信頼性の高い運転と予防保全を実現します。

さらに、熱を情報として制御する新たな冷却・熱利用技術の研究も進めています。単なる冷却性能の向上にとどまらず、廃熱を再利用しながらシステム全体のエネルギー効率を動的に最適化する知能的熱制御を目指しています。エネルギーの流れを全体的に把握し、動的に制御するこの考え方は、まさにインテリジェントエネルギーの核心をなすものです。

また、エネルギー変換機器に関する知見を応用し、モーターや発電機、バルブ、回転機構などの装置を対象とした運転状態のリアルタイム診断技術を開発しています。稼働中に生じる微小な振動や音響信号を高精度に解析し、構造健全性や性能変化を把握することで、安全性とエネルギー効率の両立を図る取り組みを行っています。特に、小型高出力デバイスや移動体向けエネルギー機器では、運転中の振動挙動を連続的に監視し、知能的診断技術へ展開する研究を進めています。

さらに、医療応用の分野では、インテリジェントエネルギーの概念を生体信号解析に展開しています。超音波、心音、脈波、呼吸信号といった多様な生体情報を解析することで、非侵襲的で信頼性の高い健康モニタリング技術の創出に挑戦しています。これらは、信号をエネルギーと情報の両面から理解し、診断支援の高度化や予防医療、在宅医療の実現を目指す応用研究として位置づけられます。

shin1sakamoto Research Hub は、エネルギーと情報、そして知能の融合を核として、理論と実践を重ねながら新たな価値を生み出す研究を継続しています。エネルギーの流れを理解し、変換し、予測し、制御する。その知を通じて、持続可能で知的なエネルギー社会の実現に貢献していきます。

研究代表

坂本 眞一(Shin-ichi Sakamoto)

所属

滋賀県立大学 工学部 電子システム工学科 教授

略歴

  • 2024年4月〜現在:滋賀県立大学 教授
  • 2008年4月〜2024年3月:滋賀県立大学 准教授
  • 2018年8月〜2019年3月:University of Huddersfield Visiting Scholar
  • 2005年4月〜2008年3月:同志社大学 特別研究員
  • 2003年4月〜2005年3月:日本学術振興会 特別研究員
  • 2002年4月〜2005年3月:同志社大学大学院 博士後期課程
  • 1999年4月〜2002年3月:東レ株式会社
  • 1997年4月〜1999年3月:同志社大学大学院 博士前期課程

所属学会・活動実績

  • 日本音響学会(会員・査読委員・テクノロジーシリーズ編集委員)
  • 応用物理学会 会員
  • 日本母性衛生学会 会員
  • 日本伝熱学会 会員
  • 超音波研究会 会員
  • 非線形音響研究会 会員
  • 超音波の基礎と応用シンポジウム 実行委員